地域仮想通貨 神奈川茅ケ崎編

月刊仮想通貨11月号vol.20 2019年9月21日(土)発売号より

月刊仮想通貨本誌の編集・記事執筆を手掛ける小村海の記事を月刊仮想通貨公式サイトにも掲載。
毎週木曜日に更新予定となっております。

前回(地域仮想通貨 富山編)

◆神奈川茅ケ崎 BYTHESEA.coin

海辺の環境問題の解決に向け、ゴミ拾いなどに通貨価値をつける――。そんなテストプロジェクトが今年7月、神奈川県茅ケ崎市で始まった。海辺生活の魅力を伝えるメディアを運営する株式会社ダース―(東京都渋谷区)が、清掃活動を通じてもらえる地域通貨「BYTHESEA.coin」(BTS)を発行し、新たな経済循環を作ろうと普及を図っている。

世界的に深刻化する海洋プラスチック問題や低迷する茅ケ崎市の経済。環境と地域経済という2つの課題を解決するために誕生した通貨が、BTSだ。
全国でも、清掃活動などボラティアの見返りとして付与される地域電子通貨はある。しかしBTSは、通貨を受け取る側が、通貨と交換できるモノやサービスを提供する側でもあるという点で、他の通貨と一線を画す。BTSをもらうためには「BYTHESEAアンバサダー」への登録が必要だが、登録時に自分がどんなサービスを提供できるかを示すことが求められるのだ。
サーフィン教室や駐車場の無料サービス、アロママッサージの無料サービス、レストランでの飲食無料…。いずれも約50人のアンバサダー登録者が用意したサービスだ。「BTSをもらう人は、経済の消費者であると同時に、生産者でもあるんです」。ダース―の須田大輔社長はBTSの仕組みをこう表現する。
BTSはシステムだけでなく、独自のブロックチェーンをもとに開発されたトークン設計プラットフォーム「PEACE COIN」を活用しており、様々な利点がある。例えば、ゴミを拾いBTSを受け取った活動の履歴は、ブロックチェーンによってウォレット上に全て記録。環境活動をしてきたことが可視化され、蓄積した個人に対する信用価値が担保されることになるのだ。
既成概念に囚われない通貨設計を持つBTSだが、実際に清掃活動をしてBTSを受け取った人はわずか6人。アンバサダー登録者も地元住民が少なく、ほとんどが東京都民に偏る。周知不足やアンバサダー登録の手続きの煩雑さがこれらの要因になっているという。
そのため、ダース―は様々な対策を講じ、普及拡大に努める考え。茅ケ崎市の商工会議所や行政と連携し、地元向けの周知に力を入れるほか、ウォレットは運用元をダース―にするなどしてリブランディングし、2020年初頭に再リリースする方針だ。アンバサダーもサービス提供を必須とする登録要件を緩和する可能性もあるという。
BTSはシステムの先駆性から信用経済の先を行く存在と言える。ユーザーにとってシステムをよりわかりやすくし、プロジェクトの規模を広げれば、成功の道筋が見えてきそうだ。

今週はここまでとなります。
本文は月刊仮想通貨11月号vol.20に全て掲載されていますので、是非下記リンクにてお買い求めください。

Profile
文◉小村海(おむら・わたる)
1990年生まれ、島根県出身。
山陰地方の新聞社で記者として5年勤務した後、仮想通貨に魅せられ、仮想通貨記者に転身。
現在は月刊仮想通貨本誌の編集と記事執筆を手掛ける。

月刊仮想通貨11月号の購入はこちら

関連記事一覧