地域仮想通貨 富山編

月刊仮想通貨11月号vol.20 2019年9月21日(土)発売号より

月刊仮想通貨本誌の編集・記事執筆を手掛ける小村海の記事を月刊仮想通貨公式サイトにも掲載。
毎週木曜日に更新予定となっております。

前回(地域仮想通貨 埼玉深谷編)

◆富山 YEL

富山県内で使える独自の地域応援通貨YEL(エール)。消費者が商品代金の支払いだけでなく、応援したい加盟店や団体に対して協賛金とともにメッセージを送れるのが特長だ。ネット上での決済も可能なため、富山県民のみならず、県外居住者からの利用も増えており、富山経済を支えようとする機運が高まっている。

経済活動を支える人、モノ、金というあらゆる資本が東京に一極集中している日本経済。地域内経済の循環を促し、少しでもこの流れを是正しようと出来た電子マネーがYELだ。
先端技術・ブロックチェーンを搭載しているYELは、決済や投資、寄付の手段にとどまらず、富山ならではの魅力発信を可能にする通貨だ。買い物ができるネット上での仮想商店街の加盟店ページでは、店舗側が商品の魅力などを情報発信。商品も野菜や銅器といったモノだけでなく、酒造りなど体験型商品を扱っているのも強みの1つだ。
さらに、YELは、地域通貨を使って地域の経済に貢献する“応援経済”という独自の仕組みを持つ。
具体的には「YOSEGAKI」というプラットフォーム内で、消費者が地域事業者に対しYELとともに応援メッセージを送り、物心両面で地域経済を支援。その支援行動の見返りとして、消費者にはYELと交換できる応援ポイントが貯まるといい、消費者、事業者の両方にとってWIN-WINのシステムを構築している。
YELの事務局を担うIT企業、サムライセキュリティ(東京都)の濱川智社長も「地域応援通貨というコンセプトに賛同する人は増え、県外からの問い合わせも増えている」と語る。
しかし、YELも大手企業などの決済手段が多様化し、飽和していることから、ほかの地域通貨と同様に利用普及の面では頭打ちの状況が続く。濱川社長は「YELを使うことで、商品の値段が割引されるなどの経済合理性を追求しないと今後は難しい」と語る。
ただ、地域通貨は経済活動の規模拡大を希求することだけが、その目的ではない。経済を切り口にした相互交流のきっかけを作り、コミュニティー形成の一助となることが本来の意義とも言える。
サムライセキュリティは今後、“応援経済”の軸となる地元スポーツチームやアスリート、アーティストとの連携を強化。YELと応援メッセージの送り先として、それらの選択肢が加わることが予想される。
地域通貨は利便性のみならず、消費者のプレファレンス(相対的なブランド好意度)を集めることが重要となる。いかに県民の愛着を集められるか。同社の今後の戦略に期待が集まる。

今週はここまでとなります。
本文は月刊仮想通貨11月号vol.20に全て掲載されていますので、是非下記リンクにてお買い求めください。

Profile
文◉小村海(おむら・わたる)
1990年生まれ、島根県出身。
山陰地方の新聞社で記者として5年勤務した後、仮想通貨に魅せられ、仮想通貨記者に転身。
現在は月刊仮想通貨本誌の編集と記事執筆を手掛ける。

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