地域仮想通貨 埼玉深谷編

月刊仮想通貨10月号vol.19 2019年8月21日(水)発売号より

月刊仮想通貨本誌の編集・記事執筆を手掛ける小村海の記事を月刊仮想通貨公式サイトにも掲載。
毎週木曜日に更新予定となっております。

前回(地域仮想通貨 飛騨高山編)

◆埼玉深谷 negi

第一国立銀行のほか、王子製紙や大阪紡績など約500の企業設立に携わった実業家・渋沢栄一の出生地である埼玉県深谷市。近代資本主義の礎を築いた偉人が生まれたこの地で2019年5月、地域電子通貨の導入に向けた実証実験が始動した。QR決済による電子プレミア商品券を1割のプレミアを含む1億1000万円発行し、地域内経済の循環を促している。

電子プレミアム商品券の通貨単位は、深谷市の特産品のネギにちなんだ「negi(ネギ―)」。販売期間は5月11~14日と短かったが、親近感が湧く愛称からか、市民の注文が殺到し、5月14日に完売した。
1negi=1円で換算されるnegiの決済方法は2種類。スマホにダウンロートする専用のアプリか、スマホを持たない場合は店舗側が読み取るためのQRコードが印字されたカードで決済ができる。7月31日時点の決済利用可能な店舗数は、市内の飲食店やアパレル店など224店舗。
市は18年5月、ふるさと納税の返礼品に電子感謝券を導入した経緯があり、感謝券をグレードアップした地域活性化策として今回の電子プレミアム商品券を発案した。ふるさとチョイス電子感謝券導入時に協業した、ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」運営のトラストバンク(東京都目黒区)と再びタッグを組んだ。
市は電子プレミアム商品券の狙いについて地域内経済の循環をうたうが、行政と市民を繋ぐ架け橋としての機能も期待する。市独自の健康プログラムの達成者に電子プレミアム商品券を付与する仕組みを、今年10月をめどに導入。これまで以上に、市は市民の健康づくりの促進を、市民は行政参加を推進させる目的だ。
導入から3カ月が経過し、利用状況は好調。それでも市の担当者は「キャッシュレス化はあくまでも地域振興の手段」とする。
確かに、地域電子通貨は成功事例においても当該地域の買い物市場のシェアを1割取れるかどうかで、キャッシュレス決済が単体で振興策の主役になるとは言い難い。5カ月間の実証実験を経て、いかに今後の道筋を描けるかが重要となってきそうだ。
一方で、「渋沢栄一の精神が地域に根付いているからこそ、電子通貨の発行というアイデアを思い付いたのです」と担当者。全国の地域電子通貨を見ても、自治体主導の通貨のうち、実験段階で発行額が1億円に上るものは例を見ず、その言葉は真に迫る。
深谷市の電子プレミアム商品券が、渋沢栄一の精神に則ったスケールの大きい地域電子通貨に成長する可能性も低くないのかもしれない。

今週はここまでとなります。
本文は月刊仮想通貨10月号vol.19に全て掲載されていますので、是非下記リンクにてお買い求めください。
また、来週、再来週はお休みとなります。
次回は24日(木)に「地域仮想通貨特集」を更新する予定となっています。
次回更新分は月刊仮想通貨11月号vol.20に掲載されていますので、合わせて下記リンクからお買い求めください。

Profile
文◉小村海(おむら・わたる)
1990年生まれ、島根県出身。
山陰地方の新聞社で記者として5年勤務した後、仮想通貨に魅せられ、仮想通貨記者に転身。
現在は月刊仮想通貨本誌の編集と記事執筆を手掛ける。

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