地域仮想通貨特集 木更津市編

月刊仮想通貨9月号vol.18 2019年7月20日(土)発売号より

月刊仮想通貨本誌の編集・記事執筆を手掛ける小村海の記事を月刊仮想通貨公式サイトにも掲載。
毎週木曜日に更新予定となっております。

◆木更津市 アクアコイン

房総半島の西側に位置する千葉県木更津市で、市内の官民3団体が連携して普及に取り組んでいる地域電子通貨が「アクアコイン」だ。運用開始後、順調に加盟店が増え続け、現在では451店になった。地域経済を支える存在となるべく、導入が進んでいる。

アクアコインは2018年10月に運用がスタート。市主導のポイント進呈キャンペーンなどが追い風となり、6月11日現在で決済に必要なアプリのダウンロード数は7200件、決済総額は1億2730万円に達した。
地域通貨は看板倒れするケースも少なくないが、アクアコインは「まずまずのスタート」(市産業振興課の担当職員)との評価があるように、幸先は悪くない。ポイント還元キャンペーンを後ろ盾に売上を前年対比で伸ばした加盟店があり、経済活動にプラスになった事例も見られている。
採用するシステムは、フィノバレー(東京都港区)が提供するプラットフォーム「マネーイージー」。地域電子通貨の先駆けとされ、岐阜県の高山、飛騨の両市と白川村で展開される「さるぼぼコイン」と同様のシステムだ。さるぼぼコインとアクアコインの利用対象地域の人口はほぼ同規模。アクアコインが、約1000店の加盟店を持つさるぼぼコインに肩を並べる通貨に成長することは十分にあり得る。
大きな可能性を秘めるアクアコイン。誕生背景には、市や住民の地域経済に対する危機感があった。
川崎市と木更津市を結ぶ東京湾アクアラインの料金が3000円から800円に引き下げられた09年以降、市内に大型小売店が相次いで進出し、小売業者間で競争が激化。市の商工会連合会の加盟業者が08年からの10年間で約300店舗減るなど、業者の多くが淘汰の波にのまれた。
地域経済衰退への危機感から、市は17年10月、地域電子通貨を活用した活性化策を発案。翌年2月に君津信用組合と木更津商工会議所の2者と協定を締結し、3カ月にわたる実証試験を経てアクアコインが完成した。開発費用やランニングコストは同信組が負担するほか、同商議所がPR役を担うなど、総力を挙げてアクアコインを支えている。
それでも課題はある。アクアコインのチャージは、観光案内所などに置く2台の自動チャージ機と同信組の店舗を含む市内33カ所に限られ、アクアコインとの接触機会が多くない。市民からは「もっとチャージ機の設置場所を増やしてほしい」と不満の声が漏れる。
そうした状況下で市は、5月にアクアコインと連携した行政ポイント制度を導入するなど対策に乗り出した。10月からは消費税増税に合わせて国が実施するポイント還元を利用する。利用推進対策は整ってきており、今後はインフラ整備に加え、市外者の需要をどう喚起できるかが、実績を伸ばす上で求められそうだ。

 ◎アクアコイン記者体験記
ビットコインを店舗決済に使った経験はあるが、地域電子通貨は初めて。今回の取材でアクアコインのチャージから決済まで一連の流れを体験してみた。
専用のアプリをスマートフォンにダウンロードした後、駅前の観光案内所に設置されたチャージ機で1000円分のポイントをチャージ。続いて、小売店で、レジ前に置かれたQRコードを読み込み、パンや飲み物を購入した。
アプリのインターフェイスはきれいで動きも滑らか。QR読取後に店舗スタッフへの確認という行程もあったが、問題はなかった。1000円のチャージに対し、30円のポイントが付くなど特典もあり、接触機会と認知度が向上すれば利用増が見込めそうだと感じた。

今週はここまでとなります。
本文は月刊仮想通貨9月号vol.18に全て掲載されていますので、是非下記リンクにてお買い求めください。

Profile
文◉小村海(おむら・わたる)
1990年生まれ、島根県出身。
山陰地方の新聞社で記者として5年勤務した後、仮想通貨に魅せられ、仮想通貨記者に転身。
現在は月刊仮想通貨本誌の編集と記事執筆を手掛ける。

月刊仮想通貨9月号の購入はこちら

関連記事一覧