今月のファンダメンタルズ vol.3

月刊仮想通貨vol.4 2018年5月23日発売号より

さまざまな分野への応用が進むブロックチェーン技術

前回はブロックチェーンの概念を、仮想通貨向け暗号技術という点から、ハッシュ関数という改ざんがほぼ不可能な関数を用いており、ハッシュ関数により生成されたハッシュ値が取引を通じてブロックのようにチェーン(連鎖)していくことがすなわち、ブロックチェーンであると説明した。

今回は、具体的な応用分野などについて見てみよう。
ブロックチェーンを用いた分散型台帳技術は、イ.中央機関を必要としない非中央集権的な取引を実現する、ロ.複数の参加者が台帳を持っているため可用性に優れる、ハ.記録の改ざんが非常に困難である、という三つの特徴を持つ(大和総研編著:『FinTechと金融の未来』(以下、同書)より)。

現在、ブロックチェーンを活用していこうという動きは、実に広範な分野に及んでいるが、いずれもこの三つの特徴を長所として活かすことが事業展開上のメリットでもある点が共通している。
また、大和総研では同書の中で、運用方法の点からブロックチェーンをパブリック型、コンソーシアム型、プライベート型の三つに分類している。
ここでは、それぞれの運用方法を直近で見られた実例などに即して理解していく。

パブリック型は、文字通りネットワークへの参加が原則として自由な形態で、典型的な例が仮想通貨である。
4月6日、マネックスグループは仮想通貨業者のコインチェックを完全子会社化すると発表し大きなサプライズとなった。
マネックスグループの松本社長に対するインタビュー記事が多くのメディアで公表されているが、同氏の発言からうかがわれるのは、同社はパブリック型のビジネスモデルである仮想通貨を中長期的に有望視しているということである。

これと全く対照的なのがSBIグループである。
同社主導で3メガ銀行など多くの邦銀が参加しているコンソーシアムでは、複数組織による統一的な送金プラットフォームの開発が当面の目的であると考えられる。
SBIグループ首脳が仮想通貨業者に対し非常に否定的な発言をしていることもあり、同社が目指しているのはパブリック型ではなく、ネットワーク参加が許可制となるコンソーシアム型の運用方法であると推測される。

三つめのプライベート型は単一組織によるもので、その他の特色はコンソーシアム型とほぼ同様である。
4月8日付けの日経ヴェリタスでは、ブロックチェーン関連として上場企業13社をピックアップし、そのうち不動産情報管理、賃貸住宅情報管理、中古車用品の個人間売買、携帯電話の修理などが「当面は」プライベート型で進められると報じている。
ただし、今後は運用主体の企業の業界内でのポジショニング、事業フェーズの段階の違いなどにより、コンソーシアム型に発展・収斂されるケースも出てくると見られ、金融以外の分野での動向もしばらくは目が離せない状況が続きそうだ。

Profile
北村 裕
日本の証券会社に勤務後、米国留学、ニューヨークにて投資銀行業務を経験後、外資系メディアで編集責任者などを歴任。大手運用会社で外資ファンドの調査、提携業務などに長年携わる。現在も金融業界で勤務するかたわら、最新の金融工学などの普及も志す。

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