今月のファンダメンタルズ vol.3

月刊仮想通貨vol.3 2018年4月23日発売号より

MUFG コイン

仮想通貨として三菱UFJ銀行が発行するMUFGコインは当初2017年秋頃までに発行される予定であったが、現状では2018年度中の発行へと延期された。
しかるに2017年5月より三菱UFJ銀行員1500名を対象としたスマホ・アプリを使用してのMUFGコインの導入実験は続けられており 又、2018年3月初旬にはベンチャー企業にMUFGコインの一部の仕様を公開し、新しいビジネスモデルや技術的アイデアを募集するコンテストが行われるなど発行へ向けた準備は進んでるようである。
イギリスのカーニー中銀総裁が「ビットコインは価値貯蔵の機能としても送金や決済機能としても失敗だ」と指摘してるように、既存の仮想通貨は未だ本来期待されている役割を果たせていない中で、それらの弱点を補うべく世界初となる民間銀行による新たな仮想通貨の発行は、正に世界が注目する仮想通貨市場の一大イベントといっても過言ではなかろう。
まだMUFGコインの詳細は発表になっていないが、既にいくつかの論点が浮かび上がっている。
以下、その論点を列挙し、それぞれについて表に出ている断片的情報を基に整理して全体像へ繋げて観たい。

①MUFGコインは仮想通貨なのか電子マネーなのか
MUFGコインは仮想通貨として発行する。「仮想通貨法」では電子マネーでは100万円以上の送金ができないが、仮想通貨なら可能である。法人取引を念頭に考えると仮想通貨としての発行は一択にならざるを得ない

②ビットコインなどの仮想通貨とMUFGコインの違い
ビットコインはブロックチェーン(分散元帳)技術を使ってマイニング(採掘)された仮想通貨で、発行量が制限され、ビットコインのプログラムをダウンロードしてる複数人によって管理されているのに対し、MUFGコインは預金高114兆円の信用をバックにホスト・コンピューターで発行・管理されることになる

③1MUFGコイン=約1円の長期にわたる価格維持は可能か
三菱UFJ銀行は独自の取引所を開設しMUFGコインの発行と買取に専念すると発表している。おそらくAIを駆使してインフレ率を予想し、売値と買値のスプレッドを非常に狭い範囲に収まるよう管理するものと思われる

④スマホ・アプリを使ってMUFGコインの購入・売却を行う
スマホ・アプリは個人客にとって必須のツールとなるであろう。日本国内では銀行を通さない個人間の送金はただ同然の手数料で行えるようになる。割り勘も簡単にでき、スマホをかざすだけで自動販売機の商品はなんでも購入できるようになる。又、MUFGコイン用のATMが新設されれば、スマホとのやりとりも簡単に行えそうだ。

⑤リップルのネットワークとどう繋がるのか
基本的に国内の送金や決済はMUFGコインで取り行うが、海外の送金・決済はリップル・ネットワークを使い仮想通貨リップルが使われる予定だ。この連携がうまくいけば、正にこれこそが誰もが望んだ理想的な仮想通貨の使われ方だ。

⑥みずほ銀行・郵貯銀行・61地銀連合が発行するJコインとの関係はどうなるか
これまでの情報では、MUFGコインとJコインは仕組み上基本的な違いは見当たらない。
ユーザーの立場からは同種のサービスが一つでも二つでも構わない。
しかし、三つ以上は煩雑なだけで避けてもらいたいものだ。

Profile
工藤 富夫
元ダウ・ジョーンズ経済通信社在日代表。
海外の主要銀行、証券会社でトレーダーとして活躍後、ドレスナー銀行東京支店のトレジャリーアドバイザー、住友信託ロンドン現地法人のチーフ・ユーロ・ポンド・トレーダーなどを経験。

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