今月のファンダメンタルズ vol.3

月刊仮想通貨vol.4 2018年5月23日発売号より

仮想通貨・ICOの世界の光と影

昨年末からフィーバーした仮想通貨の世界も、本年2月5日の急落で、なかなか三分の一戻しも達成できない状況が続いていたが、春になり、多くの仮想通貨が三分の一以上に上がってきた。
急落の最大の原因はコインチェック事件であり、その余波で、ゲイトウエイ(取引所)に対する顧客管理、安全、安心性に対する不信感や疑心暗鬼の念が拡散したことが原因のようだ。
しかしながら仮想通貨を支えるブロックチェーン技術の将来性そのものに対するゆるぎない信頼は、世界の弱小国の中央銀行が発行する現行通貨よりはるかに高いままである。
昨年4月に金融庁によって施行された通称仮想通貨法が同年10月から実施され、みなし業者が淘汰選択されつつあり、本年4月23日に自主規制団体「日本仮想通貨交換業協会」が登録団体16社によって設立されたことも仮想通貨の低迷期を脱した要因のひとつと言えよう。
国内にウォレットを持ちたい読者はこの16社に口座を持つ事を勧めたい(参考:月間仮想通貨創刊号)。
その上で、仮想通貨の種類は基本的に実績のあるトップ20から本誌の記事を参考にしながら慎重に選んで投資するべきである。
実は一獲千金を狙えるのはICOで発行する仮想通貨への投資であるが、この見極めが難しい。
これからの新仮想通貨はICOからスタートするケースが多いと思われるが、直近の国内のケースで、ほとんど報道されないが、見事に3万人から100億円以上だまし取って、昨年10月に閉鎖され、そのままに1銭も返却されずに、会社もそのまま存在して、司直の手も入らないケースを紹介しよう。
それはクローバーコインへの投資事件である。
知り合いの金持ちの山っ気の強いばあちゃんからの相談を受けたのは、16年の12月。
「クロバーコインって知ってる?」
「知らない」
「新しい仮想通貨の事よ。一口3万円を投資すると20%がリップルコインに投資されるの。それに来年6月に上場するって。」
「だったら直接リップルを買ったら?」
「だって買い方が分からないし。担当の中田さんはとっても親切でよさそうな人だから全部任せた方が楽じゃない。」
即座に詐欺と直感したが、ばあちゃんの夢を即座に壊すほど親しくなかったので、
「いくら投資したの?」
「20口、約70万円で12000コイン。世界の恵まれない子供たちを救う運動。友達を紹介したら一口につき紹介料が2000クローバーコインくれるの。」
「それってなんだかねずみ講みたいだね。もう少し様子を見て絶対追加投資はしないようにネ。」
そして昨年6月ばあちゃんから電話。
「6月24日に幕張メッセで千人集めてプレセールがあるけれど来ない?」
「行けないけれど、ばあちゃん追加投資はしてないでしょうね?」
「した!600万円」
「……」
その後連絡なし。
この会社は7月以降コインの名称を止め、ポイントと名称を変えた。
ポイントカードの発行は許可制だが、ポイントは返す法律がない。
ネットで調べると昨年9月、消費者庁と国税庁の両方から強制捜査を受け、あえなくレッドカードでジ・エンド。
まだ、明確に投資詐欺であると断定できず、被害者が中高年層で、やましいのかほとんど名乗り出ず。立件が難航。
読者のみなさんは簡単にだまされないと思うが、ICO、新仮想通貨への投資は慎重に。
今もネット上で慈善運動の名目等で、新仮想通貨いよいよ出航!
集会に参加しただけでナントカコインプレゼント。
連れも一人限定でニューコインプレゼント!
なるデカ文字がサイトに盛んに躍っている。

Profile
板垣 哲史
国際金融コンサルタント。イタリア商業銀行東京支店、シティバンク、エヌ・エイ東京支店のFXインターバンク・チーフ・ディーラー、資金部長歴任後、シティコープ・フューチャーズ在日代表を経て、1995年2月、(株)トーマス・モア・コンサルティング社を設立。

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