今月のファンダメンタルズ vol.1

月刊仮想通貨vol.1 2018年2月19日発売号より

金融に精通した投資のプロ・工藤富夫氏が世界情勢を踏まえた今月の世界経済の動向をレポートする。

トランプ減税の影響で、まだまだドル安は続く

年末からの世界経済の動きで注目なのは、昨年アメリカのトランプ減税。
これにより法人税が38%から21%に引き下げられることになった。
アメリカの国際企業は推定3兆ドルの海外資産があるといわれているが、その2割はレパトリされると言われている。
そういった動きの中で、注目すべきは為替が対円、対ユーロでドル高となっていない点だ。
反対にドル円は、2円ほど下がっている。
またアメリカの株価は急上昇しているのにインデックスが下がる逆転現象も起きている。
これまでとは違う動き方をしていることに注意が必要だ。
今後の為替の動きは、アメリカの金利が上がるのに伴い、ドル高になる可能性もあるだろう。
たとえこのまま円高ドル安が進んでも105円まで。100円を切ることはなさそうだ。
現在のドル安は、中国経済の崩壊が大きな要因だ。
中国は現在3兆ドルを保有しているが、アメリカ政府はドル高になって中国が換金することで、アメリカ債権が売れなくなることを懸念している。
実際、中国経済の状況はかなり厳しく、いい材料はほとんどない。
個人、企業、国の借金はGDPの2.5倍の3300〜3700兆円にも及んでいる。
そんな中、数少ない明るい材料といえるのは、中国のシリコンバレー、深センが効率的な発展を遂げていること、北京の空気がきれいになってきたこと。
中尾武彦元アジア開発銀行総裁の「中国のイノベーションに今後大きく期待ができる」という前向きな発言にも注目だ。

好調な実体経済の裏付け、株価は3万円台も目前

株はアメリカ、日本、いずれも引き続き上昇傾向だろう。
日米共に企業収益が上がっており、株価は実体経済の上昇を追いかけている。
ただ、バフェット指数では、すでに株価全体のGDPを超えており、「買われすぎ」のサインという指摘もある。
チャーティストの見立てとしては、日米ともにいつ株価が下落してもおかしくない状況だ。
しかし、過去の指標と違い、現在のファンダメンタルズはすこぶる好調。
日本経済はまだまだ勢いが強いというのがファンダメンタリストの意見だ。
今後も、2万5000円〜3万円台に向けて動いていくだろう。
仮想通貨については、これまで有事で買われ、安定時は売られるという動き方をしていたが、最近、少し変わってきた。
政治が安定し株価と一緒に、仮想通貨も上昇するという現象が起きている。
世界経済の今後のポイントは、2月8日の北朝鮮軍事パレード、2月9〜17日の平昌オリンピック、3月18日のロシア大統領選挙。
経済の流れがどう変わるかに注目したい。

ポイント
1.注目はドル高でないこと
2.中国経済は厳しい
3.仮想通貨の傾向に変化

Profile
工藤 富夫
元ダウ・ジョーンズ経済通信社在日代表。
海外の主要銀行、証券会社でトレーダーとして活躍後、ドレスナー銀行東京支店のトレジャリーアドバイザー、住友信託ロンドン現地法人のチーフ・ユーロ・ポンド・トレーダーなどを経験。

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