プロトレーダ解析 vol.2

月刊仮想通貨vol.2 2018年3月23日発売号より

謎の現役為替トレーダーとして高い実績を誇るトシムリン氏が、独自の分析で仮想通貨市場を予測。
コインチェック騒動などの余波もあり、一転下落となった2月の相場。
その分析と、今後の予測やいかに?

ビットコイン相場における過去の参考チャートは?

ビットコイン/米ドルの相場は先月号で予測した通り、最悪の底の$6000で下げ止まりました。
相場の世界では「歴史はくりかえされる」という格言があり、私はこれを大事にしています。
テクニカル分析というとインジケーターを活用して、その場の値動きを予測するというイメージを持たれている方も多いと思うのですが、これでは役不足なところもあります。
「過去の値動き」と「現在の値動き」を見比べ、今後の動きを予測していくことが重要な要素なのです。
今回のビットコイン/米ドルの底が$6000という予測も、過去のインターネットバブル時のマイクロソフトやアマゾンの値動きを参考にして予測したものでした。
バブルという観点では1634年にオランダで起きた「チューリップバブル」も参考にはなるのですが、チューリップは枯れてしまえば無価値になってしまうという点で、ブロックチェーン技術を持つビットコインとは異なります。
ブロックチェーン技術は今後、経済圏の発展のためには必要不可欠になってくる可能性が高いという点ではマイクロソフトに似ており、無価値になるとは考えにくい。
そうなってくると、マイクロソフトのバブル期から崩壊までの流れのチャートが参考になるのでは……と考えました。
図1は、左がバブル時のマイクロソフト株、右がビットコイン/米ドルのバブル時のチャートになります。
時間軸は違うものの一目見ただけでも今までの値動きが非常に似ていることがわかると思います。
これは、「テクノロジーは進化しても人間の心理は変わっていない」ということの表れでもあるでしょう。
だからこそ市場では「過去の値動き」と「現在の値動き」を見比べて、今後の動きを予測していくことが重要な要素の一つなのです。
ではマイクロソフトは、インターネットバブル崩壊時にどういった動きをしたのかを見てみましょう。
この動きをある程度細かく見るためには、「フィボナッチ数列」を活用した分析ツールを使用します。
これらには色々な種類がありますが、今回は「フィボナッチリトレースメント」を使用しました。
「フィボナッチリトレースメント」は、一つの上昇、または下落の波が形成された場合や調節をつけた場合、そこから何%下落するのかを推し量る目安になるものです。
相場の世界では長年多くのトレーダーに使用され続けている分析ツールでもあります。
これを活用してみると、マイクロソフト株は以下のような動きをしていました(図2参照)。

①最高値をつける
②Fibo50%まで反落
③Fibo61・8%
(38・2%下落地点)まで反発上昇
④Fibo38・2%(61・8%下落地点)近辺まで下落
⑤Fibo38・2%で
(61・8%下落地点)一旦軽く反発するも一旦割り込む

では、今度はビットコインです。ビットコインはブロックチェーンという革新的な技術を持ち合わせていると共に、「通貨」という機能も持っています。
であれば、同じ通貨である米ドル/円のFXが開始された前後のチャートはどのような動きをしたかを見てみましょう。
実はこれもまた、上記と全く同じパターンをつけていました。
実は米ドル/円だけでなく、アマゾン株の場合にも全く同じような傾向が見られたのです(図3参照)。
これは偶然ではなく、チャートも同じ人間、または「人間が作ったAI」により作られているからだということが言えます。
それであれば米ドル/円も同じようなパターンを形成して動いてくるのではないか? そう思って見たところ、面白いことにここ直近の暴落が終わる前にも図1~3と同じパターンをつけていました。
それであれば「Fibo38・2%で(※最高値から61・8%下落地点)いったん軽く反発するも再度割り込む」というようなパターンをつけてくるのではないかと考え、それを当てはめて底を予測しました。
もっと細かく分析をすると、マイクロソフト、アマゾン、米ドル/円、どれもぴったり「Fibo38・2%(最高値から61・8%下落地点)」で下げ止まったわけではなく、少し割り込んで反発をしており、マイクロソフトはその地点から約14%程度の乖離をして下げ止まっています。
それをビットコイン/米ドルに当てはめると、約$6000というポイントになりました。
最終的にはビットコイン/米ドルも見事①~⑤のパターンと同じ形を形成し、$6000近辺で反発をしたというわけです。

バブル崩壊後の値動き予測は?

必ずしも過去の値動きと現在の値動きが暴落予測のように当てはまるというわけではありませんが、今後もこういった過去との比較は重要な要素になってきます。
では、マイクロソフトやアマゾン株はバブル崩壊後どうなったか?
マイクロソフト約5815日、アマゾンは約3745日もの間、バブル時の高値を更新することなく横ばい的な推移をしました。
つまり、今後ビットコイン/米ドルも、しばらくの間横ばい気味な動きをする可能性があると考えられます。
しかし、物事が普及するスピードは以前に比べて圧倒的に早くなっています。
なので最高値を更新するのに、マイクロソフトやアマゾンほどの時間はかからないとは予測しています。
この期間に関しては、ライトニングやルーツストックなどのスケール問題解決策がどれくらいのスピードで実装されて普及していけるかにかかっていると思います。
個人的には、ビットコインはマイクロソフトと同じような動きのパターンになるのではないか……と予測しています。
マイクロソフトは先ほど活用したフィボナッチの0・382〜0・618の間でしばらくレンジを形成しました。
これをビットコイン/米ドルに当てはめ、他のテクニカルとも組み合わせてみるとしばらくの間は$6000~13224での推移が考えられます。
逆にここを上抜けてくるようであればアマゾンの値動きに似たパターンになる可能性もあります。
また上抜いてきた場合は、次号でその解説をしていくつもりです。

2〜3月は停滞気味になるビットコイン相場

ビットコインの過去のシーズン分析をしてみますと、12月~1月の頭まで上昇傾向ですが、1月に暴落することが多い。(図6参照)。
2、3、4月はあまり動かず、5~6月に少し上昇傾向……といったようなパターンをつけているため、今後もこの傾向が何らかの影響を及ぼしてくるのであれば、少なくとも2〜3月は先ほどのレンジで停滞するでしょう。
もし早い段階で先ほどのレンジを抜けてくるのであれば、4~5月にかけて超えてくるのではないか……と考えられますが、それよりももっと長い期間、このレンジで推移する可能性も念頭に入れておく必要があるかもしれません。
現在のビットコイン/米ドルは、$6000近辺を底に逆三尊を形成し、足場を固めてきている状況です。
ここしばらくの間、レジスタンスとなっていた下降トレンドラインと$10983~11426のポイントも上抜けしていたため、下降トレンドが終了したことを示唆しています。
このまま上昇を継続していくようであれば、次のターゲットとしては$12324~12656近辺。
そこを超えてくるようであれば中期的には$14338〜14600を目指す展開が見込まれます(図7)。

また、現在はロングポジションが徐々に積み上がってきている状況でもあります。ポジション動向はどちらにポジションが積み上がっているかによって、ロングを取るべきか、ショートを取るべきかを判断する先行指標としても活用できますが、逆にポジションの積み上がりの上限・下限を捉え、一旦の利益確定が入りやすいポイントを絞ることもできます。
現在は過去に数回ロングポジションの上限だったポイントにきており(図8緑の点線)、$12324~12656近辺、もしくはその手前ではいったんの利益確定が入りやすいポイント(下落調節をしやすい)になる可能性が高いでしょう。またテクニカル的に見てもダブルトップに近いポイントとなっています。
他の相関係数の高い指標を見ると、ビットコイン/米ドルはここから一気に更に高値を目指していくにはまだ材料不足、という状況です。
調節をつけた場合$9950~10134を終値ベースで下抜けてしまうと、また下降トレンド再開となる可能性が高いので注意が必要です。
いずれにせよ、他の材料をみても足場はかたいとは言いにくい状況です。

来るべき金融ショックに要注意!

もう一つ注意すべき点としては、インターネットバブル崩壊後に2008年にリーマンショックが起こり、株価が暴落。
Fibo38・2%から36%ほど乖離をして下落しているポイントです。
金融ショックは約10年のサイクルで起こっていることが多く、過去の事例をみても「8」がつく数字の年に起こりやすくなっています。
近年の例を挙げますと……
◎1987年 ブラックマンデー
◎1997年 アジア通貨危機
◎2008年 リーマンショック
現在の世界経済の動きを見ても。リーマンショック前の状態と似たような部分も多々見受けられ、少しきな臭さがあるように思えます。
$13000(レンジの上限近辺)近辺にきたときには、市場の心理としてもある程度「このままビットコインはまた最高値を超えに行く!」というような自信に満ちた声が聞かれるようになるかとは思います。
ですが、金融ショックが起こりうるということも考え、こういった時こそ調子にのらずに徹底的な資金管理を個人的にはおススメします。

下落したNEMだが先行指標は上向き

ビットコイン以外の銘柄ですと、現在はNEM/米ドルに注目をしています。
NEMはコインチェック騒動があってから、新規投資家の心理ではNEM=危ないという心理が植え付けられてしまったのか、大幅に下落した状態になっています(図9)。
しかしNEMが悪いわけではなく、あくまでコインチェックのシステム的な問題であのような事件が起こってしまったわけであって、NEM自体は悪くない。
ここ最近は、盗まれたNEMがZaifを経由して資金洗浄されているなどのネガティブなニュースが未だに飛び交っており、NEMは日本人がほとんど購入していたと考えられるため、この問題が解決しない限りは悪いイメージが抜けず、低迷する可能性があります。
しかし、私が普段活用しているNEMの先行指標(図10)XEM/JPYがオレンジ、青は先行指標)も現状は上向いていており、テクニカル的に見ても$0・286〜
0・354の買いやすいポイントに来ています。
プライスアクションを見ながら、買い検討銘柄として注目しておくといいかもしれません。

Profile
トシムリン
トレード歴13年の謎の現役為替トレーダー。
2016年後半にイーサリアムに可能性を感じ、仮想通貨投資を開始。
独自のテクニカル分析に基づき、多くのアルトコイントレードも日々行っている。
現在は会員数が数百名以上いる仮想通貨コミュニティーTAMARIBAのセミナーやプロコースの講師を務めている。
http://tamari-ba.com/

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