プロトレーダ解析 vol.1

月刊仮想通貨vol.1 2018年2月19日発売号より

謎の現役為替トレーダーとして高い実績を誇るトシムリン氏が、独自の分析で仮想通貨市場を予測。
昨年から続くビットコインの高騰、コインチェック騒動の暴落を踏まえ、今後の市場の動きを分析する。

ビットコインは典型的なバブルのパターン

2017年1月の終値は約960ドルだったビットコインは、4〜5月にかけて高騰。
12月16日には1月の価格の約20倍にあたる2万ドルに達した。
「この状況は1634年のオランダでおきたチューリップ・バブルと非常によく似ている。個人的にはビットコイン・バブルがいつ崩壊してもおかしくないと考えています」(図1・2参照)。
チューリップ・バブルが起きたのは、17世紀のオランダ。
チューリップ栽培ブームに乗じて一般投資家が大量に参入、球根への投機熱が加速した。
珍しい球根は家一軒分に相当するほど価格が上がったが、1637年に突然バブルは崩壊した。

実体のない投機目的のビットコインバブル

ビットコインは非中央集権型の通過として、高速かつ少額の手数料で1対1の資金調達ができるのがコンセプト。
しかし、市場の熱気が高まるにつれ、送金速度は遅くなり、手数料も高騰している。
「ビットコイン本来の実用性が失われているのに、価格は暴騰しているのが、今のビットコインバブルです」
送金スピードや手数料の解決策として、セグウィットイトやライトニングの実装が進んでいるが、完全普及には課題も多い。
また、ビットコインの開発に関わるブロックストリーム社が銀行連盟に加入していることにも注意したい。
ライトニングはオフチェーン上でのサーバー管理が必要で、それを銀行が担う可能性があるのだ。
「そうなると、ビットコインの非中央集権型通貨という重要なコンセプトが崩れてしまいます」
ビットコインはチューリップ・バブルのチャート推移に似ているだけでなく、実需が伴わずに投機目的の買いが殺到しているという点も同じなのだ。
これらの要因から、トシムリンさんは昨年12月時点では8000ドルまで下落してもおかしくないと予測。
実際、1月末のビットコインは、8000ドルまではいかずとも、1万ドルまで値を下げた。

典型的なバブルチャートに学ぶ見極めのポイント

図3は典型的なバブル時のチャートだ。
これをビットコインに当てはめると(図4)、現在はAnxietyという、多くの投資家が「思った以上に価格が下がらない」と感じているポイントだ。
次にDeminalという段階では、「いい投資をしているのだから価格が下がるわけがない」と投資家は考えてそのままホールドする。
しかし、価格は下落を続けて、バブルが崩壊。
Panicとなるという流れだ。
「トレードの世界では過去の事例が繰り返されるもの。テクニカル分析ではさまざまな情報を分析して予測を立てます。最も重要なのは、過去の事例と現在の相場を照らし合わせて、今後の動きを分析することです」
現在のビットコイン市場は、コインチェック騒動後も大きく値を下げず、9871〜10524ドルのサポートラインはかなり堅い。
しかし、「ビットコインを取り巻く状況を考えると、8000ドル、最悪の場合は6000ドルまで下がるシナリオもありえます。
ビットコインバブルが崩壊する際のシナリオとしては、図5、6のようなパターンが想定されるので参考にしておきたい。
しかし、トシムリン氏の見解としては典型的なバブルチャートのような崩壊には至らずにDenialの段階で下げ止まるのではないかとみているそうだ。
その考え方に至った判断材料としてみておきたいのが、同じ通貨である円ドルの為替相場の動き。
FX取引が始まる前後のチャートパターンもビットコインチャートとかなり似ている。
またマイクロソフト株などもかなり似たような現象が起きている。
「このときのドル円やマイクロソフト株と同じ現象が起こるとすれば、ビットコインも7600ドルまで下がる可能性が。7914〜8442ドルのサポートラインへの下落は想定しておくべきでしょう。個人的にはテクニカルや指数、歴史的な観点も踏まえて6000ドル近辺が一旦の底だと考えています」

持っていれば上がる時代は終わり。今後はプロの市場に

では、今後のビットコインの上昇はどこになるのか?
「底がどこかが固まらないと予測は難しいですが、再度上昇するにはいくつかの条件が必要です」
最も単純な条件としては、図7の下降トレンドライン1(赤)と下降トレンドライン2(緑)を終値ではっきりと突破し、ロールリバーサルが確認できることがあげられる。
「ただし、これはあくまでも単純な分析での条件。ビットコインへの投資を考える場合は、それに相関するさまざまな関連指数の分析が必要です。」
今後の中長期的な見通しとしては「イーサリアム、イオス、ドラゴンチェーン、オーブスなどのプラットフォーム系が伸びそう。総合的な投資をするなら、イコノミーのようなインデックスファンドに投資してプロに任せるのも方法です。AI系ではシンキュラリティネット、シンジケーターが注目です」
この数年は投資経験のない人も多く参入してきたビットコイン市場。
しかし、持っているだけで価格が短期的に上がり続ける時代は終わり、今後はファンドなどのプロがどんどん参入してくるはずだ。
「今はネガティブ材料が多いので、悲観的シナリオを警戒するべきとき。今後はますますプロの市場となるので、これまで以上にファンダメンタルズやテクニカル分析の技術も求められます。ビットコインが本当に実用性のあるものなのか、その真価も問われると思います」

Profile
トシムリン
トレード歴13年の謎の現役為替トレーダー。
2016年後半にイーサリアムに可能性を感じ、仮想通貨投資を開始。
独自のテクニカル分析に基づき、多くのアルトコイントレードも日々行っている。
現在は会員数が数百名以上いる仮想通貨コミュニティーTAMARIBAのセミナーやプロコースの講師を務めている。
http://tamari-ba.com/

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